2003/11/18

■監視カメラ 
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■監視カメラ市場が拡大している。2003年の市場規模は1500億円にもなると言われている。
 監視カメラの用途も治安への不安からくるセキュリティ意識の高まりから多様化している。セキュリティのほか工場内など設備の稼働・進捗状況の把握、学校・研究機関での監視などが大きな市場へと成長している。

 セキュリティ市場では、コンビニエンスストア、金融機関の無人システムなどのほか駐車場管理、ビル・マンションの出入口・通路・エレベーター、一般住宅の玄関、学校校門などで多く利用されている。とりわけコンビニではATMの設置が増えるのに伴い、1店で6-8台を設置するケースもあるほどだ。
 企業では、部外者の立ち入る商談コーナー・通路、コンピュータールームなどでの利用が目立つ。最近では携帯電話やPDAを使って全国の営業拠点を本社で管理するところもある。

 携帯電話と監視カメラを組み合わせたシステムは、従来のシステムよりも安価に構築できるために、今後ますます増加するとみられている。

 そうしたシステムを開発する1社のアイピー・スクエア(福岡市博多区)は、携帯電話で監視カメラの映像を確認できるホームセキュリティシステム「Handy-Eye(ハンディアイ)」を2003年9月16日からDDIポケットの代理店などで発売。

 パソコンも必要なく、設定や機能追加もいらないというのが特徴。導入コストも安く、センサー内蔵監視カメラとビデオサーバーがセットになった「Handy-Eye」導入パッケージの価格は6万7千円という。

 監視カメラに通信カードAir-H"が装着されたビデオサーバー「ハンディアイ」を接続し、携帯電話でハンディアイにアクセス。カメラが設置場所の様子を撮影し、画像付きメールを携帯電話に返信される仕組だ。
 決まった時間に監視カメラの画像を携帯電話に送信したり、カメラのセンサーが不審な動きをとらえると侵入者の画像をメールに添付して送信することもできるという。

http://www.ip-square.co.jp

 カメラ付き携帯電話の普及も手軽な監視を容易にしている。
 リーガロイヤルホテル(大阪)は、今年8月にオープンした犬専用のホテル「ドッグホテル ガーディアンズ」で、NTTドコモの第3世代携帯電話「FOMA」を使って24時間いつでもペット犬の様子を見守り続けられる安心サービスを提供。

 部屋の天井にFOMA端末を設置、午前11時から午後10時までペット犬を撮影。利用客は貸し出されたFOMA端末で接続して愛犬の様子をリアルタイムに確認できる。

 デジタル機器の発達が監視市場を拡大しているわけだが、知らず知らずのうちに監視社会を作っているようでもある。

■11月16日の読売新聞に未来学者のアルビン&ハイディ・トフラー夫妻の論文の抄訳が掲載されています。テーマはカメラ付き携帯電話です。これが人々の相互信頼に傷を与えることになり、監視社会を生む恐れがあると指摘しています。

 一部を紹介しましょう。

 「新しいデジタル機器は、脅迫者たちにとってもまた、格好の道具となる。麻薬をつようしている子供たちを隠し録りし、画像を両親に送り付けるぞと脅して、金をせびる。中東の国では、宗教警察が全身を覆う女性のベールの写真を撮り、足首が見え過ぎると難癖をつけて、寄付を出させようとするだろう。
 またレジの現金をくするてい店員や過激政治団体の出版物を購入している隣人や、嫌がる従業員にいいよっている雇用者など、事実とは異なる行為をでっちあげる画像の操作も出てくるかもしれない」

 「要するにカメラ付き携帯電話は、われわれのプライバシーと人権の定義はもとより、あらゆる事柄に広範な影響を与えるだろう」

 「しかし撮影された画像をぼかすような妨害信号を出す化粧品や衣服が、いずれ発明されるかもしれない」

 「都市の住民は高度の匿名性に慣れ親しんできたが、今後、完全に他人の観察の目にさらされるようになれば、住民が互いを知り尽くしている田舎の村に住んでいるような気分になるかもしれない」

 原文は11月16日付けの「デイリー・ヨミウリ」に掲載。