iPhone 3G 騒動
ソフトバンクモバイルから7月11日に販売が始まったアップル製のスマートフォン「iPhone 3G」への熱は依然として高い。
今尚あちらこちらでiPhone談義に花を咲かせている場面に出くわすことも少なくはない。
しかしこの携帯電話の発売である疑問を持った。
そのひとつがマスコミはなぜ、これほどまでに携帯電話の単なる新製品であるiPhoneに騒ぎ立てるのか、ということだ。
従来の携帯電話になかった機能があるからという理由が挙げられる。
たとえばタッチパネルの採用がある。ATMのように画面に現れるキーボードを操作するのも、そのひとつだろう。画面のスクロールも画面を指で上下することで可能だ。
携帯電話使用のスタイルを変えたことには違いない。
もうひとつの原因に、日本の携帯電話業界が通信事業者主導で成長してきたが、端末メーカーによって通信事業者が選ばれるようになったという変化が挙げられている。
これは日本の携帯電話業界にとっては衝撃的だったかもしれない。マスコミの中には「黒船来航」と書いていたところもあるほどだ。
iPhoneの扱いを巡ってはソフトバンクモバイルと最後まで競争してきたNTTドコモは、今でもアップルとiPhoneの次期端末の販売交渉を進めている、という噂も流れているほどだ。
この2点だけでもマスコミが大騒ぎする理由があったのかもしれない。
しかしこの日、ウイルコムから発売された「D4」(シャープ製)については、専門誌とネット媒体を除いてマスコミはすべて無視した。売り場もソフトバンクモバイルのコーナーと違って、ひっそりとしていたのだが。
これこそ単なる新端末のひとつに過ぎない、と見られても仕方がない新製品だったのだろうか。
それは少し違うだろう。
新しい携帯端末のスタイルを提案しているという点では、D4もiPhone 3Gと何ら変わりなく、報じられるニュースの価値には高低はなかったはずだ。
無視されたD4は、一言で言えば、PDA感覚で使えるモバイルパソコンだろう。
本体だけでは音声通話はできないが、Bluetoothハンドセット(別売)などを利用すると、音声通話もできる。この点では携帯電話(正確にはPHSだが)であり、シャープがNTTドコモのFOMA端末の1号機で試みたスタイルと同じである。
データ通信に特化するとハンドセットはいらないが、これを用いることによって電話のスタイルは変化する。
たとえば液晶テレビとD4を接続して、大画面でデータを確認しながら通話といったことも可能になる。
こうした新しい端末にもかかわらず、マスコミはこれを無視し切った。
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