2006/08/22

携帯電話番号ポータビリティ 10月24日スタート 利用者サービスの向上に期待かかる

 携帯電話会社を変更しても電話番号はそのまま利用できる「携帯電話番号ポータビリティ(MNP) 」が10月24日から開始される。先頃、NTTドコモグループ9社、KDDI・沖縄セルラー電話、ボーダフォンが同時に発表した。MNP (Mobile Number Portability) の長所は、契約している携帯電話会社を変更しても、電話番号が変わらないので新たに電話番号を周知する必要がなく、携帯電話会社同士の競争が促進され、番号ポータビリティを利用しない人にとってもサービス向上が期待できるなどが指摘されている。ただし変更に伴っては手数料が必要など、利用者の負担もある。しかしKDDI・auは、転入時手数料は無料にするといった発表をするなど、早くも顧客の獲得へ向けた取組みを見せ始めている。

◆メールアドレスは移転対象外

 番号ポータビリティは、携帯電話利用者の電話番号による囲い込み防止により、サービスの向上と料金の低減を目指すために行われる、といわれている。電話番号は移転されるが、メールアドレスは移転されないことになっている。

 これに先駆けてKDDIは、吸収合併したツーカーからauへの移行に限定して、去年10月11日から番号ポータビリティーを実施しいている。

 また現在は、携帯電話とは電話番号の番号帯(070)が違うことを理由としてPHSはMNPの対象外とされている。


携帯電話番号ポータビリティの流れ

 MNPを利用する場合、どのような手順になるのだろうか。
 利用している携帯電話ショップ受付窓口へMNPの予約申し込みを行い、「MNP予約番号」を受け取る。この場合、携帯ショップなど店頭受付窓口のほかパソコンや携帯電話、電話(インフォメーションセンター フリーダイヤル)が用意されている。

 次に移転先会社の受付店へ「MNP予約番号」を持って来店し、MNPによる携帯電話新規申込み手続きを行う。
 この手順は各社同じだ。

◆転入時手数料は無料に

 MNpを利用して、au携帯電話への転入 (新規契約) 時と、au/ツーカー携帯電話から転出 (解約) 時の手数料を8月9日に発表したKDDIは、MNPを利用の際の手数料など詳細を発表している。
 それによると、au携帯電話への転入時の手数料は無料とし、au/ツーカー携帯電話から転出予約時の手数料は2000円 (税込2100円)としている。

 またKDDIは、MNPを利用してau携帯電話サービスを新規契約する利用者に対し、9月1日から、「新規加入仮予約サービス」を提供するという。
 この「新規加入仮予約サービス」は、MNPを利用してau携帯電話サービスに新規契約する時、MNP実施前の10月23日以前に予約が可能になるサービスだ。

 スピーディーに新規ご契約の手続き処理が出来るだけでなく、「新規加入仮予約サービス」をご利用してauに転入すると、auポイントが2000円分 (1000ポイント)がプレゼントされる。
 他社からの転入を促進しようという施策だ。
 一方、NTTドコモなど他社は8月21日段階、MNPに必要な費用や特典などの施策は未定としている。

◆人気の変更先事業者はau

 こうしたMNPが導入されることに利用者はどのように受け止めているのだろうか。様々な調査が行われているが、ここでは8月18日にインフォプラントが発表した、同社の生活者情報マーケティングデータサービス「C-NEWS」で行った番号ポータビリティ制度に関する調査結果を引用したい。

 調査は自分名義の携帯電話を所有している15歳以上のインターネットユーザーを対象に、7月7日に実施されている。集計回答数は男女各250人の合計500人だった。

 それによると、MNPの認知度について、「制度の内容や導入時期を何となく知っている」が6割弱と最も多かった。
 「制度の内容や導入時期を詳しく知っている」と「言葉は聞いたことがある」がそれぞれ2割弱で、「聞いたことがない」は1割弱だった。

 携帯電話の電話番号を変更することへの抵抗感については、「非常に抵抗を感じる」と「やや抵抗を感じる」がそれぞ4割弱で、約8割の人たちが抵抗を感じているようだ。
 逆に「あまり抵抗を感じない」は1割、「全く抵抗を感じない」は4%であった。

 そこでMNP導入後、電話会社を「変更したい」人は2割強であった。それを事業者別に見るとNTTドコモユーザーは2割強だったが、auユーザーは1割半ば。またツーカーは2割半ばで、ボーダフォンは3割強と最も多くの人が変更したいと回答している。

 変更希望者が「変更後の電話会社を選ぶ際に、重視すること」は、「通話料金の安さ」が8割半ば、「パケット料金の安さ」が6割強、「通話・通信エリアの広さ」が5割だった。

 また移行先の電話会社としては、auが3割半ばでトップ。2位は2割半ばの「ソフトバンク(ボーダフォン)」、3位が2割弱のNTTドコモだった。「わからない」が2割強あった。

◆メールアドレスは継続など改善点残す

 MNPは電話番号は継続できるが、「メールアドレスは継続利用できない」や「着メロや着うたなど、公式コンテンツのデータは移せない」「長期間利用割引は移行できない」といった制約も伴う。
 こうした中で最も抵抗を感じるのは、「メールアドレスは継続利用できない」が3割半ばあった。次いで3割が「手数料として2000?3000円が必要になる」、2割強が「長期間利用割引は移行できない」であった。

 またMNP導入と並行して携帯電話会社に対して望むこととして、「利用料金の値下げ」が8割半ばで最も多かた。次いで「端末販売価格の値下げ」(5割)、「料金プランの多様化」(4割半ば)、「サービスの充実」(3割半ば)、「通話・通信品質の向上」(3割強)が指摘されていた。
 MNPにはメリットとともに、今後改善していかなければならない点がかなりあることがうかがえる結果だった。

 制度の導入にはこのほか、システムの構築に多額の費用がかかるほか、競争の激化により事業者の経営問題が生じるや強引・違法な営業活動の遠因となるなどの問題点も指摘されている。こうしたことが生じずに健全に発展していくことを期待したい。