2005/07/18

モバイル端末で人ナビ

 同じモバイル端末でも携帯電話の華やかさに比べると、年々陰が薄くなっていくのがPDA(携帯情報端末)だ。先日もソニーが海外に続いて国内でも市場から撤退するというニュースが流れていた。

 携帯電話とモバイルパソコンの間に挟まれてどっちつかずのようだが、ディスプレイは携帯に比べて大きくて操作性にも優れている。本体はパソコンよりも小さいから携帯性がいい。通信機能もちゃんと持っている。なのにどうしてPDAは普及しないのだろうか。

 国土交通省が先頃、神戸・三宮で行った視覚障害者の歩行支援の実証実験では、歩行者が持つPDAに、目的地までの地図情報や店舗情報が音声や文字、画像で入ってくるというシステムの使い勝手などが確認されていた。

 歩道の点字ブロックや電柱などの住居表示、街角の案内所などにICタグを取り付け、それとPDA間の通信で、ICタグの情報を読み取り、文字や画像、音声で道順や曲がり角の案内、商店の品揃え、観光案内などもしてもらえるという。

 また大阪のあるNPOは、PDAを使って外人観光客を対象にした、大阪・ミナミの観光ガイドシステムの開発に着手している。こちらはナビゲーションや英語、中国語、韓国語との翻訳、商店案内などのパッケージ型のアプリケーションを詰め込んで使うというもので、差し詰め電子ガイドブックといったところ。

 衰退気味のPDAだが、その携帯性と操作性、パソコンに近い機能が評価されて、こうした実験では大いに活躍している。しかし国交省は将来は端末を携帯電話に置き換えることも考えているようで、やはりPDAの先行きは不安が多いようだ。

[データ]
 国交省が使うPDAは、ユビキタス・コミュニケーターという特別仕様のもの。幅76×高さ144×厚さ15ミリ、重さは約196グラム。マルチバンド対応のICタグリーダーを内蔵。背面に200万画素CCDカメラを装備し、一次元/二次元バーコード対応。Bluetoothや無線LANなどの通信機能も。