2006/02/17

伸びる電子コミック ダウンロード数はうなぎ上り  NTTソルマーレ


◆増える電子コミック利用者

 NTTソルマーレ(大阪市中央区)が携帯電話に配信する電子コミックのダウンロード数が1000万を超えたそうです。無料でダウンロードできる”立ち読み”を含めると2000万ダウンロードにも達しているといいます。

 1000万ダウンロードは、NTTドコモのiモード公式サイト「コミックi」と、KDDI・auのEZweb公式サイト、ボーダフォンのVodafone live!公式サイト「コミックシーモア」からの数字です。

「コミックi」
メニュー→TV/ラジオ/雑誌/小説→小説/コミック

「コミックシーモア」
EZweb
EZメニュー→トップメニュー→カテゴリで探す→電子書籍→コミック→コミックシーモア

Vodafone live!
Vodafone live!→メニューリスト→書籍・コミック・写真集→電子コミック→コミックシーモア

 「コミックi」がスタートしたのは2004年8月で、05年5月からは「コミックシーモア」を始めています。その間に人気漫画『北斗の拳(カラー版)』(原作:武論尊、作画:原哲夫)や『サラリーマン金太郎(激闘マネーウォーズ編)』(本宮ひろ志)、『静かなるドン』(新田たつお)など150タイトル、1万話以上をラインアップするまでになっています。

 サービス開始以来、05年6月には100万、05年8月に300万、05年10月に500万、そして06年1月に1000万と、着実に利用者を拡大してきました。

◆PDA向け「Foobio」が下地に

 そこで「日刊移動体通信ニュースM(Daily Mobile@ News)」では、NTTソルマーレの本社を訪問、同社の電子コミックの人気の秘密などを取材してきました。

 しかし電子コミックに参入して約1年半で1000万ダウンロードとは早い!
 同社は「ケータイコミックのジャンルの中では最速での達成です」と説明しています。

 サービスを始めたときには、先発の電子コミックを配信する会社は5社(今はiモードだけでコミックサイトは24もある)もありました。その中で同社が、どうしてそんなに早く実現できたのでしょうか。

 その前に、少し会社の経歴に触れておく必要があるようです。
 02年にNTT西日本100%出資の会社として設立された同社(今はNTT西、東、NTTレゾナントが出資)が始めた事業は、キヨスク端末から小説やコミックなどをユーザーのメモリーカードにダウンロードしてもらい、パソコンやPDAで閲覧してもらう「Foobio(フービオ)」というサービスでした。

 東京、大阪、名古屋を中心に約100台の専用端末を設置しましたが、06年2月にサービスを中止しています。家庭と会社の往復の間を埋めるコンテンツビジネスとしてスタートしたものでしたが、思うようにPDAが普及しないといったこともあって辞めざるを得なかったようです。

 Foobioのサービスで電子コミックの配信事業の下地は作ったわけでいず、これが携帯電話向けの電子コミック配信を大ヒットにつなげることになります。

◆パケット通信の定額制が追い風

 さて、この電子コミック事業が大ヒットする要因はなんだったのでしょう。

 同社で電子コミック事業を担当している小林克之さんは、「まず考えられるのが、リクエストに応じて人気タイトル、最新タイトル、利用者が読みたいと思う作品を数多く揃えてきたことでしょうね」と話しています。

 売れ筋のコミックは『北斗の拳』『サラリーマン金太郎』『快感フレーズ』などだ。女性の利用も増えてきたこともあって、快感?に代表されるように女性向けコミックの品揃えも充実してきたといいます。

 女性向けコミックをたくさん発行している宙(おおぞら)出版とは05年に提携しているが、同社のハーレクインコミックシリーズの提供を受けるなど、女性層の開拓を強化しているところです。

 小林さんが次に挙げるのが「使いやすいサイト作り」と「スピーディーな顧客対応」です。

 iモード公式サイトの「コミックi」は、最も優秀なiモードサイトを表彰する05年度の「iモード大賞」では、注目され勢いのあったサイトとして「話題賞」を受賞しています。

 使いやすさでは「文字を新たに打ち直すなど、より見やすい画面作りを心がけています」と小林さん。
 また利用者からの声を最大限取り入れようと「社内にコンタクトセンターを設けるなどして、メールなどでの問い合わせなどにも24時間以内に対応する」などの体制を敷いているそうです。

 最後に小林さんがこのように付け足しました。
 「各携帯キャリアが第3世代(3G)携帯電話を導入し、パケット通信の定額制を取り入れたことで、マンガも携帯で読む時代になってきたということでしょうね」
 携帯電話を取り巻く環境の変化が電子コミックに追い風になったようですね。

◆伸び続ける電子コミック

 電子コミックの市場は今後、どうなるのでしょうか。ますます拡大するのでしょうか。大いに気になるところです。

 「3G携帯の普及台数は06年1月末現在では4457万7900です。定額制の利用者数は900万人(05年9月)と言われています。電子コミックを読むための環境はますます整ってきています」

 「当社実績では06年1月の1ヶ月間に有料のダウンロードは200万もありました。2年前に始めた時には1ヶ月でわずか3000しかダウンロードはありませんでした。これを見ても今後の伸びは約束されているでしょうね」

 小林さんは電子コミックの将来が明るいと自信たっぷりの様子でした。
 では、どのような人が、どんな時間帯に電子コミックを読んでいるのでしょう。

 「ユーザーは30代がメインです。利用は予想に反して昼休みとか深夜帯ですね。ふとんの中で読んでいるという人もいるようです」
 意外とみんなマジメなんですね。

◆オリジナルコミックや海外コミックもやってみたい

 成長が確実な電子コミックの市場で、NTTソルマーレこれからはどんな特色をだしていくのでしょうか。
 最も気になるのが作品ですが、その中でも難しいとされるのが最新コミックの確保。
 これについては、「営業マンは頻繁に東京へ出張して出版社やプロダクションなどと最新タイトルの確保に向けた交渉をしています」(小林さん)そうです。

 オリジナルコミックの制作や海外コミックの採用などもあるのでしょうか。
 「既存の出版社などとのお付き合いがあるので、そんなに簡単な話ではありませんが、やってみたいテーマですね」

 将来が楽しみであります。